癒しコーナー第5回「白鳥」

はじめに
 ここに来る白鳥はオオハクチョウで国内の野鳥の中で最大級(全長約140cm翼開長2m以上)で最重量級(8~12kg)です。翼を広げると雄大で、力強く、その飛ぶ姿は優雅です。越冬の為日本に飛来し、元気でねット周辺で初雪の11月11日に白鳥を撮ったので約半年間以上は関東以北の日本で活動しています。一夫一妻で繁殖し、つがいの絆は強く一方が死ぬまで相手は変わりません。幼鳥をともなって家族単位で生活します。特に繁殖の地シベリアから、生まれて3ヶ月ほどの幼鳥をつれ日本に南下するときは命がけの飛行になります。この命を守る大きな役割を果たすのがリーダーであり群れの行動です。リーダーは追従してくる家族の群れを気遣い、励まし合い、時には叱り勝手な行動を抑えます。リーダーの統率・統御は絶対的なもので1羽1羽がそれを理解しているように思えます。
 
DSC_4214(中洲対岸) (1280x812)玉川の中洲で夜を過ごしたオオハクチョウの朝05:43の様子です。休んだり、羽根の身繕いや川底の藻を食べたりして、いつものエサ取りに出発する時間まで過ごしています。この写真には約220羽写っています。
 
DSC_4674 (1280x696)周辺上流方向の中州の向こう両岸にもかなりの数の集団が確認できます。
 
DSC_3554 (1280x717)隊列を整えてあいさつに来ました。鴨、サギ、トンビ、カラスなど鳥には反応しませんが、私が姿を現した最初は少し遠ざかろうとします。まもなく興味ありげに様子をうかがいながら縦隊で近づいてくることがあります。まるで観閲行進です!
 
DSC_7972 (1280x905)流れ着いたもみ殻をくちばしで器用にこしとるように食べているところです。
 
DSC_2415 (1280x848)川面にパチャパチャという音が広がったのですが、小魚の大群がとびこんできたらしく、一生懸命食べている様子です。
 
DSC_7959 (1280x905)一枚の羽が傷んで気になるようです。羽は一年に根元からおしあげて生え変わります。
 
DSC_7964 (1280x905)羽ばたきによる吹き降ろし流が水面にきれいな円弧を描いています。羽ばたきが効果的におしあげる力を獲得していることがわかります。
 
DSC_8037 (1280x905)くちばしで相手の羽を”ツッツク”、”つまむ”ような動作が見られます。エサをついばんでいる時にじゃまするな!じゃれあう!あまえる!いじわるする!などいろいろな意味があるように見えます。
 
DSC_8035 (1280x905)子供が親にじゃれるしぐさなのかも?
 
DSC_2214 (1280x905)頭の上に雪がかさなってエンジェルのように撮れました。
  
DSC_8258 (1280x922)羽づくろいは、白鳥にとって大切な行動です。自分の身体から出る油を翼にすり込むことにより、水を弾いたり水に浮かぶことができます。
また、身体についた虫を取り払うなどの役目もあります。
 
DSC_8247 (1280x988)子供に成長を促しているようにも見えます。 
  
DSC_4465 (1280x905)こんな姿勢で休むこともあるんですね。
 
DSC_6700 (1280x848)私の方をチラ見する瞬間ですが凝視することはほとんどありません。それぞれにチラッチラッと様子をうかがう視線を感じます。
 
DSC_8235 (1280x557)隊形を整えることがすごく得意です。これは命を守る基本だからです。
 
DSC_2845 (1280x905)いよいよ離水位置につくための移動です。行動の1単位グループの数はまちまちで離水時は最少2羽から40~50羽でした。
 
DSC_6049 (1280x848)左側が下流で右側が北方向で9割がた北寄りの風のため上流に向かっての離水が多くなります。川の水面全体を使って離水滑走をします。前方には200mほど障害物はありません。滑走距離は10mから100mぐらいまでまちまちです。向かい風成分によっても変わってきます。ただし、緊急時はほんの数メートルで離水できますが、普段は消耗を少しでも抑えます。
 
DSC_6123 (1280x848)離水の順序は離水方向の前方からというのではなく後方からだったり横に位置しているものからと様々です。滑走直前の合図として長い首を前方に振ってコォーコォーと鳴くので雰囲気として飛び立つということがわかります。
 
DSC_6197 (1280x905)真ん中の白鳥はこの体勢から両側の白鳥に追随します。航空機の編隊離陸では後方から滑走開始した航空機に追随して編隊離陸することは推力的にも操縦技術的にも不可能です。白鳥はごく自然に後方から滑走してくる白鳥にタイミングをとり追随できる感覚と体重に比して圧倒的な推力を持っていることに驚かされます。
  
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DSC_6087 (1280x905)羽を一仰ぎすると同時に前傾姿勢に移行し、左右交互にでかい水かきを使って走り出します。水かきを前方に移動するときは抵抗にならないように畳んで水面を蹴るときは開きます。
 
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DSC_6316 (1280x848)航空基地のトラフィックパターンを飛行するように離水後直線飛行で北方向に高度をとり、その後左旋回して高度20mぐらいを維持しながらいったん反方位に直線飛行をしてから左旋回して東方向にグループごと散っていきます。
  
DSC_1647 (1280x905)めずらしく南風成分があり玉川下流方向に離水していきました。
 
DSC_7935 (1280x905)意識的に左旋回して東方向に向かう際、頭上めがけて通過していくグループもあります。頭上近くを通過するときは、白鳥の羽ばたきから発する音、北海道の白老で聞いたアイヌの楽器ムックリに似た、「ビュン、ビュン、ビュン」という振動を感じるような奥深い音を発して通過していきます。
 
DSC_5022 (1280x905)しなやかで長い首は、眼や脳を乱れのない気流のなかに安定させる効果もあります。空気抵抗を少なくするため水かきをきれいに収納します。
 
DSC_4212 (1280x848)朝焼けの中、きょうもいってらっしゃい!
 
DSC_5261 (1280x905)朝の時間帯にもどってくるものもいます。翼の後縁部分を湾曲させて多くの空気をはらんで低速時のフラップ(高揚力装置)効果、水かきを大きく広げて着水の準備と航空機でいうスピードブレーキ効果を使って滑空してきました。
 
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DSC_4362 (1280x905)水かきの大きさには驚かされます。
 
DSC_6143 (1230x870)きれいな着水です。
 
DSC_3794 (1280x490)着水前の体勢はそれぞれ違っていても着水は安定しています。航空機だと着陸前に安定した姿勢を維持していないと安定した着陸は難しいです。
 
DSC_1847 (1280x848)雪の上ではエサとなるものもないので、休んだりグループ行動の訓練なのかもしれません。
 
DSC_1812 (1280x848)身体の熱が失われないように、くちばしを翼にしまい昼寝をしています。
  
DSC_1770 (1280x848)お母さんにあまえて背中を借りて昼寝をしています。
 
DSC_1735 (1280x905)求愛の行動なのでしょうか。
 
DSC_3449 (1280x905)やっと田んぼの雪が少なくなってきて、シャーベット状の氷の下の落穂を食べています。
 
コピー - DSC_4218 (1280x905) (2)画像が不鮮明ですがヤマセミを紹介します。白鳥の撮影中には鴨、アオサギ、とんびなどの野鳥が行き交います。その中にヤマセミが写真におさまっていました。大仙市の鳥カワセミは知名度が高いですが、ヤマセミの数は圧倒的に少なくて、ひとつがいの縄張りが5~6kmといわれ、一級河川でも居たとしても数が知れています。4月は巣作り、5月は子育て、6月から7月同じことを繰り返します。切り立った地形で、ヘビなどが侵入しないところに横穴を掘って巣作りをします。見かけた方がおりましたら島田までご一報ください!ここから玉川下流方向に通過して40分後に上流に向かって通過したので、おそらくここから玉川か桧木内川上流5km圏内には巣があると思います。最初通過したのは羽の内側が茶色のメスで、反方位に通過したのがオスだとすると下流方向にも巣がある可能性があります。なお体長はカワセミと違って30cm以上です。 
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DSC_8564 (1280x848)今年は4月14日の風弱く快晴の朝、北に向けて集団で旅立っていきました。飛行高度は500m位と思います。風の方向や強弱を考えて飛行高度を設定したと思います。隊形は傘型で、これには意味があります。前方の鳥の羽ばたきによって翼端から発生した渦流の斜め後方に生じた上向き気流をうまくとらえ、体力の消耗をできるだけ温存するためです。渦流は風や羽ばたきによって変化するので、その微妙な変化を感じとって自分の位置と羽ばたきのタイミングを調整します。羽ばたき回数は、単独飛行の45%にまで減少。脈拍も一割減少という実験データがあります。また敵に対して警戒しやすい位置で相互支援が可能な基本的隊形です。
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おわりに
 撮影を通じて、白鳥をはじめ鳥の世界には、もう忘れてしまった人間の素朴な姿があるように思いました。何百羽のオオハクチョウの中に一羽のコハクチョウが一緒に行動を共にしていました。同じ白鳥とはいえ何百羽の中で異種を受け入れられるのはすごいことです。シベリアの地では産卵が遅れる白鳥もいて、幼鳥が充分に育たないままに越冬のため3000キロの距離を移動しなければならない現実があります。リーダーとなる者は強い責任感と行動力が必要になります。自分の持てる力以上のものと気力を振りしぼり仲間について行こうとする幼鳥の姿が目に浮かびます。そこには、親とともに生き、親とともに学ぶ子供の姿があります。鳥は人と似た世界にいて、ほとんどが昼間に活動し、ほぼ人と同じ範囲の色や音を感じとって視覚や聴覚に頼った生活をしています。鳥を見ていると癒されるのは、きっと鳥との間に共感が生まれるからと思います。白鳥に教わることの多かった撮影でした。